「ピラティスに興味があるけれど、やり方がまったくわからない」「何から始めればいいの?」そんな悩みを抱える初心者の方は多いのではないでしょうか。
結論から言うと、ピラティスの基本的なやり方は「正しい呼吸法」と「適切な姿勢」を身につけることから始まります。この2つを身につけることで、正しい体の働きを整えることによってトータルでそれが叶うことになります。
ピラティスは1920年代にドイツで考案されたエクササイズです。第一次世界大戦中に、負傷兵のリハビリとして取り入れられました。現在では、姿勢改善やインナーマッスル強化、ダイエット効果など幅広い効果が期待できるエクササイズとして、多くの人に愛されています。
なぜピラティスのやり方を正しく学ぶ必要があるのか?
ピラティスは単なるエクササイズではありません。基本をおさえることなく、やみくもに体を動かしたり、間違った方法でエクササイズを行ったりしても、効果は出ず、心が解放されることがありません。
正しいやり方を身につける必要がある理由は以下の通りです:
- 効果を最大化するため:正しいフォームでないと期待した効果が得られない
- 怪我のリスクを避けるため:間違った姿勢は身体に負担をかける可能性がある
- 継続しやすくなるため:正しい方法を身につけることで楽しく続けられる
- 心身のバランスを整えるため:心身ともに健全になることを目的とした改善が可能になる
ピラティスの基本中の基本:呼吸法をマスターしよう
やり方の基本となるのは呼吸法。ピラティス呼吸(胸式呼吸)で、鼻から吸って口から吐きながらエクササイズを行っていきます。
胸式呼吸の正しいやり方
ピラティスでは「胸式呼吸」を使います。息を吸うときに肺を横に広げるように膨らませる方法です。肋骨の間にある外肋間筋を伸縮させて行う胸式呼吸では交感神経が優位になるため、身体が活性化して運動のパフォーマンスが上がったりリフレッシュした気分になったりできるでしょう。
胸式呼吸の基本手順:
- 良い姿勢を作る:猫背にならず良い姿勢で行うことが大切です
- 息を吸う:息を吸うときは胸に手を当てて、肋骨や肺が広がる感覚をつかめるように行いましょう
- 息を吐く:息を吐くときには、肋骨をゆっくり元の位置に戻すつもりで吐き出します
呼吸のフェーズ | 具体的な方法 | 意識するポイント |
---|---|---|
吸う | 鼻から息を吸う | 肋骨を前後左右に広げる |
吐く | 口から息を吐く | 肋骨を閉じるイメージ |
全体 | お腹を引き締める | 腹横筋を意識 |
胸式呼吸の効果とメリット
胸式呼吸を行うことで、肺全体を大きく使うことができ、肺活量を高めることができます。深い胸式呼吸を行うと、横隔膜が上下に大きく動き、肺を開放したり縮めたりします。
主な効果は以下の通りです:
- 交感神経の活性化:エクササイズに適した状態を作る
- インナーマッスル強化:腹横筋という、肋骨の周りの筋肉を刺激します
- 姿勢改善:腹横筋は骨盤や背骨を支えてくれている筋肉なので、これらの骨を正常な位置に戻し、姿勢改善へ効果があると言われています
- 代謝アップ:胸式呼吸をマスターすると、基礎代謝も上がるという嬉しい効果もあります
ピラティスの基本姿勢:ニュートラルポジションをマスターしよう
ピラティスのやり方で最も重要な基本姿勢が「ニュートラルポジション」です。ニュートラルポジションは、背筋を伸ばしたピラティスの基本姿勢です。仰向け、座位、立位など、どの姿勢でもニュートラルポジションを意識します。
ニュートラルポジションの作り方
ピラティスの基本の姿勢は、頭から足先までを真っ直ぐに伸ばすということです。こうすることで、体の左右のバランスを正しいものにして、きちんと呼吸ができるようになります。
仰向けでのニュートラルポジション:
- 仰向けに横になり、膝を立てる
- 両足を腰幅に開く
- 頭頂部から尾骨まで自然なカーブを作る
- 肩の力を抜き、肩甲骨を軽く寄せる
- 腰の下に手のひら1枚分程度の隙間を作る
重要なポイント:ニュートラルポジションは「自然な背骨のカーブ」を維持することです。無理に腰を床につけたり、反らせすぎたりしないよう注意しましょう。
ピラティスの2つの種類とそれぞれのやり方
ピラティスには大きく分けると「マットピラティス」と「マシンピラティス」の2種類があります。それぞれに特徴があり、やり方も異なります。
マットピラティスのやり方
マットの上でエクササイズを行うピラティスです。インストラクターの声かけに合わせてポーズをとったり、音楽などに合わせて動いたりしながらエクササイズを行います。
特徴 | 詳細 |
---|---|
必要なもの | マットのみ(自宅でも可能) |
難易度 | 自重を使うため、ある程度の筋力が必要 |
効果 | 体幹トレーニング、姿勢改善 |
向いている人 | ある程度運動経験がある人 |
マットピラティスの基本的なやり方:
- 準備:滑りにくいヨガマットを敷く
- ウォーミングアップ:呼吸法とニュートラルポジションの確認
- 基本エクササイズ:呼吸と動きを連動させながら実践
- クールダウン:ストレッチで筋肉をほぐす
マシンピラティスのやり方
専用のピラティスマシンを使って行うピラティス。実は、アメリカでは「ピラティスといえばマシンピラティス」というくらいスタンダードな方法なんです!
マシンピラティスの特徴:
- 初心者に優しい:マシンのサポートを受けられるため正しいフォームでエクササイズを行いやすいことと負荷を調整しやすいことです。この特徴から、初心者に向いているピラティスと考えられています
- 効果的:マシンピラティスは8割以上の方が体型の変化を実感しており、マットピラティスよりも9.4%多い結果となりました
- 安全性:マシンが正しい動きをサポートするため怪我のリスクが低い
初心者におすすめの基本エクササイズとやり方
ここでは、初心者でも安全に取り組める基本的なピラティスエクササイズを紹介します。
1. ペルビックティルト(骨盤の傾斜運動)
やり方:
- ニュートラルポジションで仰向けに横になる
- 息を吐きながら、おへそを背骨に近づけるように腹筋を使う
- 腰を床に軽く押し付けるように骨盤を傾ける
- 息を吸いながら、ゆっくりと元の位置に戻る
効果:腹横筋の活性化、骨盤の可動性向上
2. レッグスライド
やり方:
- ニュートラルポジションで仰向けに横になる
- 片脚をゆっくりと床を滑らせながら伸ばす
- コアを安定させながら、脚を元の位置に戻す
- 反対側も同様に行う
効果:体幹安定性の向上、股関節の可動性改善
3. サイドプランク(初心者版)
①肩の真下に肘を置き、脚を伸ばして揃えます。足首は折り曲げます。(フレックス) ※肘で床を押し、下側の肋骨を落とさないようにしっかりと引きあげておきましょう。
やり方:
- 横向きに横になり、肩の真下に肘をつく
- 一度息を吸い、吐きながらお尻を持ち上げます
- 体を一直線に保ち、10-15秒キープ
- 吸いながら、ゆっくりお尻を降ろします
効果的なピラティスの実践方法とコツ
頻度と継続のコツ
自宅でのピラティスは継続することが大切ですが、無理して毎日する必要はありません。1日10分程度の短時間から始め、週に2〜3回行うことで体の変化を感じやすくなります。
目標 | 頻度 | 期間 |
---|---|---|
基本習得 | 週2-3回 | 1-2ヶ月 |
体型変化 | 週3-4回 | 3-6ヶ月 |
維持・向上 | 週2-3回 | 継続 |
正しいフォームのポイント
ピラティスのエクササイズは、体に負荷をかけて鍛える動きが中心です。よって、基本的には反動を付けずに動くようにしましょう。
重要なポイント:
- ゆっくりとした動き:反動を付けないようにするには、ゆっくりと動くとよいです
- 呼吸との連動:体を曲げるときには肺や横隔膜が縮まるため、息をはく方が効率的です。一方、体を反るときには肋骨が広がり、横隔膜も伸びるため、息を吸う場面に適しています
- 質の重視:時間を気にするよりも基本動作を丁寧におこなうことが大切なので、まずは5分からでも動きをしっかり身に付けるようトレーニングしてみるとより効果的です
ピラティス実践者の体験談と効果
実際にピラティスを継続した方々の体験談を見てみましょう。
短期間(1-2ヶ月)での変化
ピラティスを1~2ヶ月(10回)継続すると普段使っていなかった部位がスムーズに動くようになり、体が軽くなった感じがしてくるでしょう。
実際の体験談:
- 「ヒップや腰回りがすっきりしはじめ、体が軽く感じるようになりました」
- 「酷い猫背だった姿勢が徐々に改善され、背中の贅肉が取れてきた」
- 「全体的に体が引き締まって軽くなったように感じます。姿勢も良くなって、肩こりもあまりしなくなりました」
中長期間(3-6ヶ月)での変化
ピラティスを半年以上続けた人の体験談をもとに、ピラティスを継続することでどのような効果を感じられるのかを紹介します。
体験談①「姿勢が良くなり腰痛が改善された」
猫背だった姿勢が良くなって来たことや、インナーマッスルが鍛えられ、長時間経っていても腰が痛くなりにくくなった。
体験談②「筋肉が増え体力がついた」
ピラティスをはじめてから、2,3カ月くらいで体力がついてきた・筋肉量が増えたと感じた。
よくある間違いと注意点
ピラティス初心者が陥りがちな間違いを知っておくことで、より効果的な実践が可能になります。
呼吸に関する間違い
これらの呼吸をしている方は、まず呼吸できる状態を整えていきましょう。
- 口呼吸:口呼吸をしている方は、口からの感染リスクが高まり、顎・首・肩への負担も大きくなります
- 肩の上下運動:肩が普段から上下運動するような呼吸のパターンは姿勢保持する筋肉が呼吸に使われているため、常に疲れやすくなります
- 呼吸を止める:ピラティスをする時には呼吸を止めないことが大事
姿勢に関する間違い
- 過度な腰の反り:自然なカーブを超えた反り腰
- 肩の緊張:肩に力が入りすぎている状態
- 首の過伸展:あごを上げすぎている状態
自宅での実践方法とスタジオでの学習
自宅でピラティスを始める方法
ピラティスを自宅で実践するときはYouTube動画から始める方法が最もお手軽!基本的なポーズで構成された動画が多いので、ピラティス初心者さんも実践しやすいと思います。
自宅実践のメリット:
- 時間や場所を選ばない
- 自分のペースで進められる
- 費用を抑えられる
- 人目を気にしなくて良い
スタジオで学ぶメリット
インストラクターから直接指導を受けられる点は大きなメリットです。体の動かし方やコツを具体的に教えてもらえるうえに、体を正しく動かしているかチェックしてもらえます。
スタジオでの学習メリット:
- 正しいフォームの指導:専門インストラクターによる個別指導
- モチベーション維持:他の参加者との交流
- 設備の充実:マシンピラティスなど専用機器の利用
- 安全性:怪我のリスクを最小限に抑えられる
ピラティスの効果を実感するまでの期間
ピラティスの創始者ジョセフ・H・ピラティス氏は、「10回で気分が良くなり20回で見た目が変わり、そして30回ですべてが変わる」という有名な言葉を残しています。
回数・期間 | 期待できる効果 | 具体的な変化 |
---|---|---|
10回(2-3ヶ月) | 気分の改善 | 体が軽くなる、姿勢が良くなる感覚 |
20回(4-5ヶ月) | 見た目の変化 | 姿勢改善、ボディラインの変化 |
30回(6-8ヶ月) | 全身の変化 | 体質改善、慢性的な不調の改善 |
まとめ:正しいやり方でピラティスを始めよう
ピラティスの基本的なやり方について詳しく解説してきました。最も重要なポイントをもう一度確認しましょう。
ピラティス成功の鍵:
- 正しい呼吸法の習得:胸式呼吸をマスターする
- 基本姿勢の理解:ニュートラルポジションを身につける
- 継続的な実践:週2-3回のペースで続ける
- 質を重視した動き:ゆっくりと丁寧に行う
- 専門指導の活用:初期はインストラクターから学ぶ
ピラティスは正しい方法によってのみ、効果を発揮することができ、正しい方法を習得するためには基本をしっかりと学ぶ必要があります。
初心者の方は、まず基本的な呼吸法と姿勢から始めて、徐々にエクササイズの幅を広げていきましょう。本質を理解することで、単なる体の美しさだけでなく、心身ともに充実した満足感を得られることでしょう。
ピラティスは一朝一夕で効果が現れるものではありませんが、正しいやり方で継続することで、必ず身体と心に良い変化をもたらしてくれるはずです。今日から始めて、健康的で美しい身体を手に入れましょう!
コメント